骨粗しょう症について
骨粗鬆症とは、全身の骨量が減少し骨密度が低下することで、骨の強度が低下し骨折しやすくなってしまった状態です。
大腿骨頚部(股関節)、胸腰椎椎体移行部(背中)、上腕骨頚部(肩関節)、橈骨遠位端(手関節)の4か所が特に骨粗鬆症に続発した骨折が頻発する部位で、脆弱性骨折と呼ばれます。
50歳以上の女性の50%、男性の20%が脆弱性骨折に生涯罹患します。中でも前3者においてはstageにもよりますが、胃がんや乳がん、大腸がんなどよりも生命予後の低下をもたらすことが判明しています。
よって早期から的確な治療を行うことが健やかな暮らしを継続するためには重要です。残念ながらカルシウムを多く摂取するなどの食事の改善だけでは打開できません。
骨粗鬆症は閉経後の高齢女性に特に多く認めます。すなわち加齢と閉経が一番の要因といえます。また他疾患治療のために長期間ステロイドやプロトンポンプ阻害薬、抗性ホルモン剤などの薬剤を服用していたり、糖尿病や喫煙、多量飲酒、運動不足などが危険因子です。
当院の骨粗鬆症治療について
当院では大学病院などと同等の、大腿骨頚部や腰椎の骨密度を正確に測定することができる最新骨密度測定器(DEXA)を用いています。骨代謝マーカーなどの血液検査も行ったうえで、患者様それぞれの病態に最適な治療と生活指導を行います。
当院で主に用いる骨粗鬆症治療薬
内服薬:活性型ビタミンD製剤、カルシウム製剤、ビスフォスフォネート製剤、選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM)
注射薬:デノスマブ(抗RANKL抗体薬)、ロモソズマブ(抗スクレロスチン抗体薬)、テリパラチド(ヒト副甲状腺ホルモン製剤)、ビスフォスフォネート製剤
当院院長の骨粗鬆症に関する主な業績(新しいものから)
和文論文:Monoaxial plateとして用いたADAPTIVE-2 plateによる骨粗鬆症性橈骨遠位端骨折の治療成績 日手会誌 35:1060-1063、2019. 曽我部祐輔、恵木 丈、信貴政人
和文論文:50歳以上の橈骨遠位端骨折における術後矯正損失の危険因子 -骨粗鬆症との関連- 日手会誌 35:310-313、2018. 信貴政人、恵木 丈、曽我部祐輔
国内講演:骨粗鬆症に対する年1製剤 -その特性と使用法のコツ- OSAKA Bone Conference(2017/7/6)大阪市 恵木 丈
国内講演:最新のエビデンスから見たこれからの骨粗鬆症治療 K-2ネット(2017/4/20)大阪市 恵木 丈
和文論文:AO分類C型橈骨遠位端骨折に対するFragment Specific Fixationの意義と適応 日手会誌 29(4):327-331,2013. 金城養典、日高典昭、恵木 丈
和文論文:橈骨遠位端骨折後変形治癒に対する関節内矯正骨切り術 骨折 29(4):666-671、2007. 恵木 丈、香月憲一、岡田充弘、米田昌弘、高岡邦夫、金城養典
国際学会発表:Comparison of Intra Focal Pinning with or without Injectable Calcium Phosphate Bone Cement as Treatment for Osteoporotic Unstable Distal Radius Fractures.
Egi T, Kazuki K, Hidaka N, Takaoka K. 58th Annual Meeting of the American Society for Surgery of the Hand, Chicago, USA, 2003/9/18-20.
和文論文:骨粗鬆症性橈骨遠位端骨折に対するintra focal pinning法の治療成績 – IFP単独法 vs. CPC併用IFP法 – 日手会誌 19 (6): 633-637, 2002. 恵木 丈、香月憲一、日高典昭、五谷寛之、高岡邦夫